2023年度夏合宿報告

こんにちは、3年の入川です!

今年の夏休みも終わりに近づいていますが、みなさまはいかがお過ごしになられましたでしょうか。季節のおいしいものは食べましたか? 自分は夏が終わるとかき氷やそうめんにしばらく会えなくなると思い、ちょっとさみしくなったのですが、この暑いのがおしまいになればなんでもいいかとも思いました。そんな夏休みでした(?)。

さて先日の9月13日、現代文学研究会の夏合宿が行われました。対面での開催は4年ぶりということで、合宿初参加のわたしたち3年生はもちろん、先輩方も楽しみにされていたのではないでしょうか。

↓以下、その報告をさせていただきます!!↓

 

合宿の前半戦は、怒涛の読書会ラッシュからはじまりました。

米澤穂信「命の恩」では、警察小説や推理小説との関係、従来の米澤作品と本作における探偵像の違いというものから、なぜ主人公の所属が群馬県警に設定されたのかなどといった点まで議論が及びました。

はやみねかおる名探偵登場」では、初見の人がどこまで叙述トリックを見抜けたか、どの時点で気づけたか、また前の「命の恩」との探偵役や解決法における差異、語り手の人物造形や役割などについて話し合われました。

辻村深月「美弥谷団地の逃亡者」では、逃亡中に購入した「帽子」の象徴するものや、主人公の性向、そして最後のセリフがなにを意味していたのかという点などについて議論が交わされました。

矢部嵩魔法少女粉と煙」では、ホラー小説におけるタイポグラフィ・実験的表現の効果や、主人公のかぶった「皮」の示すものなどについて話し合いました。

向田邦子阿修羅のごとく』ではドラマの放送台本が小説化されたものを取り上げ、演出家の演出によってどのような効果があがったのか、脚本のサブタイトルが企図しているものは何なのか、などの点についての議論がおこなわれました。

そして後半戦では、映画『伊豆の踊子』(1963)を鑑賞したのち、「身体テクスト論」という独自の方法により、『伊豆の踊子』をはじめとした文学作品における美について分析を試みる発表がおこなわれました。質疑応答の過程では、この方法がルッキズムの問題化に活用できないか、これまで個人や社会が何に対して美を感じてきたのかといった論点が提出され、パワーポイントにして約40ページ(!)という熱量たっぷりの発表資料にふさわしく、かなり白熱した討論になりました。

 

対象の作品は児童書からテレビドラマの脚本まで広大な範囲にわたり、発表者それぞれの「好き」があふれた合宿になったように思います。またどの作品も読んだことのないものばかりで、はじめて読んでたのしい、そしてみんなで話してたのしいという文学の初心的なおもしろさを全身で味わえるような会でした。(自分の好きな本をひとに読んでもらえるのがこれほどうれしいとは……)

参加者・発表者のみなさん、そして主導して企画を準備してくださり、あたたかな雰囲気での司会進行をしてくださった院生の先輩方、お疲れさまでした&ありがとうございました!!!