一体こんな町が、東京の何所にあったのだろう。(中略)私は夢を見ているような気がした。それが現実の町ではなくって、幻燈の幕に映った、影絵の町のように思われた。だがその瞬間に、私の記憶と常識が回復した。気が付いて見れば、それは私のよく知っている、近所の詰らない、ありふれた郊外の町なのである。(萩原朔太郎「猫町」)
みなさん、こんにちは。D2の秦です。
私たち現代文学研究会は、毎年恒例、夏休み合宿を行なっています。
今年はオンラインの開催で、表テーマは「近代文学を読もう」。ここ最近、研究会にて近代文学(たとえば第二次世界大戦前の作品など)を読む機会が少なくなってきていたので、この夏休みにみんなで読もうではないか、というわけです。
けれども、ただ読むだけでは面白くない! ということで裏テーマとしたのが、「夏の想像力旅行」。研究会のみなさんに提案したときには、次のような文章を振りかぶったのでした。
今年は合宿ができない――
誰からともなく、そう聞こえてきた。夏休みまでに感染状況が落ち着いているはずもなく、集まるのは絶対NG。
みんなで遠くに行き、食べて飲んで話して温泉に入って花火をするのは今年もお預け……いや、本当にそうか?
文学部――読むことと考えることが生業。形式はオンラインでも、我々には「想像力」という武器がある!
現実には集まれなくとも、読書体験の中で遠くに行き、食べて飲んで温泉に入って花火をすることはできる!!
合宿と景色の重なるような作品群で読書会大会を開催し、「疑似・夏合宿」を楽しみ尽くすんや!!!
……ということで、旅の一日になぞらえ、次のようにタイムテーブルを組んでみました。
日時:9月26日(日)11:50~17:50 於・Teams
【到着】 林芙美子「風琴と魚の町」(担当:4年生)
【飯】 岡本かの子「鮨」(担当:D院生)
【温泉】 江戸川乱歩「二廢人」(担当:M院生)
【花火】 内田百閒「花火」(担当:4年生)
最初に掲げた合宿チラシは、前年に引き続き、D2の矢吹さんにご担当いただきました。
では、夏休みの掉尾、みなさんと一緒に読書ができることを楽しみにしています(^ ^)
※参加は現代文学研究会のメンバーに限らせていただいております。