10月24日の研究会報告と次回の研究会について

おはようございます。
三年の矢澤です。
前回の研究会は西沖さんと高島さんのプレ発表でした。

西沖さん「坂口安吾研究―説話二篇の歴史的解釈について―」
戦後の説話体の作品「桜の森の満開の下」「夜長姫と耳男」を取り扱い、二作品の中心である桜と夜長姫、二作品の結末部、時代背景について考察をするという内容でした。分析例では二章の「桜の森の満開の下」の作品考察の部分が挙げられ、「淪落から堕落へ」という切り口から山賊と女の関係について考察されていました。
・説話世界の背景をどこにおくのか
・山賊や女の死とほかの登場人物たちの死は同じものとして扱うのか
・淪落や堕落という言葉が坂口安吾作品の中でどのように使われているのか
・「自分自身によって制度あるいはモラルを創造する」という部分についてより深めたほうがいい
などの意見が挙げられました。
「青春論」の淪落を山賊と女の関係に当てはめる分析がおもしろかったです。結末部の考察も楽しみです。

高島さん「小川洋子研究〜曖昧な境界と記憶の存在〜」
「完璧な病室」「揚羽蝶が壊れる時」「冷めない紅茶」から、小川洋子特有の曖昧な作品世界と、そこで用いられる「記憶」の存在について論じるという内容でした。分析例では第一章の「完璧な病室」論から「作者の立場」「日常生活の排除による抽象性」「日常と非日常も境界線」が挙げられました。
・5ページから引用される「日常」の描写は本当に「日常」といえるのか
・作者が傍観者的立ち位置であることは曖昧な作風につながるのか
・引用に対してコメントが少ない
などの意見が挙げられました。
小川洋子作品の独特な雰囲気は「曖昧さ」や「日常世界の排除」からできているということにとても納得しました。勉強になるような意見も多かったです。

次回10月31日は加川さんと藤井さんのプレ発表です。