10月3日の研究会報告と次回の研究会について

こんにちは、3年の加地です。
後期が始まりましたね。また頑張っていきましょう。
後期最初の研究会では塚原さんと矢野さんの中間発表プレ発表を行いました。

塚原さん「山田詠美研究 二面性を持つ登場人物たち」
山田詠美の『風葬の教室』『ベッドタイムアイズ』『無銭優雅』を通して「大人と子供」「男と女」「生と死」といった相反するものを取り扱う事で見える作家の描く人間の本質に迫るという内容でした。
・本論における大人と子供とは何なのか
・本質論への切り口をどうするか
山田詠美の描く子供が「子供らしくない」といえる根拠はあるのか
・少年少女を扱った『風葬の教室』では子供=マイナス、大人=プラスの存在として描かれ、大人の恋愛を扱った『ベッドタイムアイズ』『無銭優雅』『A to Z』では逆の描かれ方をしている
などの意見がありました。同じ作家の作品でも「大人」や「子供」といったモチーフが真逆の描かれ方になるというのが面白かったです。

矢野さん「阿部公房論――どこにも行くところがなくて――」
安部公房の内的変化が、作家がどこにも属せなかった人間であったことで説明できるとして、作品を年代順に考察していくという内容でした。
・一つのことから演繹的にはじき出す研究の過程で、零れ落ちてしまう事柄をどう処理していくのか
・記録主義における「記録」とは事実のことなのか
・想像上の他者とは他者なのか
アイデンティティに注目するといいのではないか
・作家の小説以外の活動にも注目するといいのではないか
などの意見がありました。安部公房は「他者との距離の取り方」という問題に真剣に向き合っていた作家だったんだなと思いました。

次回10月10日の研究会では4年生の中島さんと大野さんのプレ発表を行います。中島さんは岡崎京子、大野さんは村上春樹について発表します。特に読んできてほしい作品などはないそうです。