5月1日研究会報告

 

はじめまして!新3年生の油谷です。

 

今年度の3年生4人で力を合わせて、至らないところも多いと思いますが、ブログ更新がんばります!

 

 

5月1日研究会報告

 

 

平野さんによる窪美澄『夜に星を放つ』の読書会を行いました。短編五篇が収録されている直木賞を受賞したことでも知られている作品です。

 

 

 各篇の終わり方や「湿り気の海」における星の描かれ方、コロナ渦前後の違いなど、興味深い話し合いがされました。

 

 

特に、「湿り気の海」は他四篇に比べ、星の描写が少なく、星より海が全面に出ていることに疑問がありました。離婚した妻とともに新しい父親とアメリカに暮らす娘・沙帆と繋がる唯一の手段であるパソコンの画面が暗くなり、主人公が映る場面で、主人公が自分自身を星と捉えているのではないか、娘の名前にある「帆」とアメリカまで海は繋がっているという要素が起因しているのではないか、という意見を聞いて、自分では全く思いつかなかったので、なるほど...!と納得しました。

 

 

幽霊が出現する「真珠星のスピカ」が、よしもとばなな「ムーンライトシャドウ」を彷彿させると聞いて、まだ読んだことがなかったのでこれを機に読んでみようと思います!

 

 

 

 

コロナ渦に受賞され、閉鎖的な空気のある社会のなか、当時の読者に優しく寄り添ってくれたのだろうと感じさせる作品でした。自分の知らない作品や知っていたけど読むのを後回しにしていた作品などを読むきっかけをいただいて、研究会の皆さんのおかげで理解が深まっていって、読書って楽しいなあ、と感じています。

 

 

 次回の5月13日は本田さんによる小川洋子『妊娠カレンダー』の読書会です。