2022年10月18日研究会報告

こんにちは、3年の山﨑です。


2022年10月18日研究会報告
 

10月18日の研究会では、4年生の宮本さんと坂本さんの卒論中間プレ発表が行われました。

 

宮本さんは『タダイマトビラ』、『消滅世界』など村田沙耶香の作品において描かれる娘への抑圧、母が受ける抑圧、そして、それら抑圧からの解放について分析されていました。質疑応答では、「作品の共通点だけでなく相違点にも注目してはどうか」、「通過儀礼・親殺しの観点や子供の成長との関係性からどのように考えられるのか」、「家族という制度から必ずしも脱出しなくてはならないのか」、「母性に関する研究も参照してみてはどうか」など様々な意見・質問が飛び交いました。

 

坂本さんは川上弘美『某』に登場する、男性にも女性にも変身できる異形の存在「某」について、ジェンダーの観点から分析されていました。質疑応答では、「山姥の語り」に関する研究などジェンダーが曖昧な異形の存在に関する他の研究を参照してみてはどうかという意見や、ジェンダーセクシュアリティの区別に関する質問、クィア理論からの分析を勧める意見などが出されました。

 
個人的に印象深かったのは「文学理論との距離の取り方がうまい」という指摘でした。作品の分析をしていると、目の前の文章を文学理論に引きつけて、強引に解釈を進めてしまうことがあるので、理論との適度な距離の取り方をなるべく早く身に着けていきたいと思いました。