2022年7月19日研究会報告

 こんにちは、三年の境です。本日は昨夜からの大雨で午前中は大学全体で休講となりましたが午後からはいつも通り講義をすることができました。第二タームも終わりに近づいてきました、残り少ない前期のゼミもしっかり取り組んでいけたらと思います。

 

2022年7月19日研究会報告

 7月19日の研究会は山川方夫「お守り」の読書会を行いました。

 「僕」に対し、高校生の頃の友人である関口が「同じ団地アパートに住む人たちと自分は違う、“ぼく”は“ぼく”なんだということを証明するためにダイナマイトを持ち歩くようになった」ということを語る話で、ホラーのような読後感もあり、私は初読の際星新一にも近いという印象を受けました。

 

 学年、院生ごとの話し合いのあと、全体で共有が行われさらに話し合いを行いました。

 話題に上がったのは、関口が独白する形式ではなく「僕」に語るという構造であることや、終わり方、団地という場所やアイデンティティをダイナマイトなどの形あるもので確立しようとする行動についてでした。特に団地という場所を描いたり、アイデンティティの画一化というテーマを扱っている類似の作品なども話し合いの中で複数取り上げられ興味深かったです。

 また、「ぼく」という一人称で語っていた関口が一度だけ「おれ」と口にすることに関しても、過激さを自ら演出しようとしているのではないかという意見や実際にダイナマイトを使うつもりはなかったため、公式の場で使うような一人称ではなくくだけた口調を選択したのではないかという意見が出ました。

 

 非常に短い作品でしたが、皆で議論できる観点も多くとても面白かったです。準備してくださった山崎さん、ありがとうございました!