「文献が見つかる。勉強会」を開催しました。

おはようございます。D1の秦です。

 

みなさん、夏休みいかがお過ごしでしょうか。

僕は専ら飼っているインコと遊びながら、ゆっくりと気持ちよく過ごしています。気持ちよく過ごしすぎてやや太り気味なインコに「おまえ俺と一緒やな」と話しかけてみましたが、彼は涼しげな顔をしていました。羨ましいなあ。

 

さて、夏休み特別企画「文献が見つかる。勉強会」から2日が経ちました。企画をしてくださった矢吹さん、発表者のみなさん、そして参加者のみなさんのおかげで非常に充実した、タメになる(なりすぎて数時間は疲れが抜けない?)会となりました。ごく簡単にではありますが、当日の様子を振り返ってみたいと思います。

 

まずは、秦と、M2の高橋さんによる発表。秦からは、研究と趣味の両方を含めた読書を無理なく続けていくためにしている工夫についてお話ししました。高橋さんからは、「好きになった人(作家)が(研究者に)モテモテすぎて辛い」太宰治研究への取り組みを基に、「膨大な先行研究・外部資料の中、『最初に読む一冊』をどのように見つけ、広げていけばいいのか?」というノウハウに関する紹介がありました。

印象的だったのは、多用しているツールとして二人ともTwitterを挙げていたことです。参加者からも、ご贔屓のアカウントが紹介してくれる本にいつも目を光らせていたり、「この作家、この作品にどんな感想が出ているんだろう?」とときどき覗いてみたりしている、との声が多数。SNSには抵抗が......という方も、閲覧用に匿名でアカウントを作ることは可能なので、活用してみても良いかもしれませんね。

 

次に、ともにM1の今田さん、石井さんによる発表。今田さんからは、「参考資料の数が増えれば増えるほど、詳細な自己分析が可能になる」という文献を多読することへの哲学とともに、ジェンダー批評をはじめとした社会学の文献へのアプローチについてのアドバイスがありました。石井さんは、夢野久作研究を例に、作品読解のために他領域の成果を参照する必要が生じた際、どのような検索ツールを用いて調査に乗り出せば良いのか、きわめて具体的な情報提供をしてくださいました。

「参考文献一覧」や「脚注」(研究書からWikipediaに至るまで)から読むものの幅を広げていく、「〇〇入門」というタイトルの新書からその分野の大枠を掴む、opacを活用していく、関連する他分野の授業を受講してみる......等々、最後のひとつ以外、今日この場からすぐに始められる方法が次々に紹介されました。「何か始めようにもどう始めていいのか分からない」不安によく効く発表だったのではないでしょうか。お二人は前にいた学校で独特な資料を集めすぎ、ゼミ室にあった自分のスペースは今後「二度と使わないスペース」と呼ばれているのだとか。いや、その本棚の魅力に惹きつけられる後輩は、きっと続出するはず!

 

最後に、M2の奥村くん、D2の矢吹さんからの発表。奥村くんの発表では、種々のデータベースを用いた調査方法のほか、「機械ができないことを人間がやる」こと、つまり文献を分類・整理したり、評価したりすることの重要性が示されました。矢吹さんの発表でも、劇評をはじめとした資料探しのため東京に赴くなど、まさに「足で稼ぐ」資料収集の成果を、では自分の発表・論文にどう用いるのか(たとえば「参考」としてなのか、「論拠」としてなのか?)、「探す作業」から一歩踏み込んだ思索が展開されました。

お二人とも、雑誌研究、演劇研究と、この研究会内では少数派のメディアを対象とした研究を進めており、新聞データベース、雑誌目録、国立国会図書館での調査など、「そんなやり方があるのか」と目から鱗だった方も多いのではないでしょうか。かくいう私もその一人で、「『書き手』としての自分を忘れずに」という矢吹さんの提言を、今後も忘れないようにしなくてはいけませんね(それができるようになるためにこそ、この勉強会で得たものを生かしていきましょう(^^))。

 

ほか、参考になるウェブサイトも多数、紹介されました。この現代文学研究会HPのリンクも、どうぞご覧ください。

 

質疑では「好きな作品を研究したい気持ちはあるが、その研究の意義をどう示していけばいいのか」「卒業論文で取り上げる数作品について、この数作品でなくてはならない理由をいかに見出していくべきか」など、大学院生も含めてほとんどの参加者が同じく抱えているであろう悩みが共有されました。

やりとりの中、この勉強会で交わされたような「読むことの、読み進めることの、書き進めることの方法と思索」を自分で深めていけるところにも、文学研究の面白さがあるのだろうなあと感じていました。その意味でも今回の勉強会は私にとって、新鮮な気持ちを思い出すことのできる、とても貴重な機会でした。皆様、誠にありがとうございました!

 

こういうちょっとした企画を、これからもちょくちょく開いていけたらいいなと思っています。何かアイデアがあれば、遠慮せずどんどん共有していきましょう!

 

では、お元気で!