6月20日研究会報告&6月27日研究会のお知らせ

こんにちは、3年の加地です。
6月20日研究会の報告をします。

今回の研究会では矢澤さんのプレ発表を行いました。
扱った作品は笙野頼子の「なにもしてない」です。
以下、話題になった点についてまとめていきます。

・あらすじがよくまとまっていた
・小説を書くことは「ナニモシテナイ」のか
→主人公としては何かしているつもりだが、他者からは何もしてないと思われるはがゆさ
 家族に依存しながら小説を書いている後ろめたさ
 ほかの作家は売れていなくてもほかの仕事で生計を立てているのに、小説一本で売れていない自分に劣等感がある
・社会への問題意識
→他者に依存し、自分を保っている人
 女性のひきこもりを扱った珍しい作品である
・女性のひきこもり
→イエ制度、男性中心社会
 女性が「家にいる」にもかかわらず「何もしていない」と見なされることに対する批判が書かれているのではないか
・「純文学論争」と作品の関係
 →直接書かれている部分がある(今回は扱う予定なし)
・恋愛や男性が書かれないことに作家のこだわりがあるのでは
・読者層はどこに設定されているのか
・主人公は自分の状態についてどう考えているのか
→金銭的な問題より、母への精神的負担のほうを重く見ている
・接触性湿疹と天皇即位式との関係はなんなのか
・他者がいない、というのはどういうことか、母は他者ではないのか
→ここでの他者は「認識不能なもの」という意味なのでは

まとめ
・先行論にない見方でよかった
・発表時間の使い方(理想は前振りが5分、本論が10分程度)
・私と母以外の母子関係について比較するといいのではないか
・湿疹→天皇即位式→帰宅の流れを考える
・タイトルに工夫があるといいのではないか
・母娘関係は女性作家にとって大きなテーマ。外部資料を用いて論じていくとよい
天皇と家族の営みという脈々と続いていく系譜をどう捉えていくか

以上です。
あらすじのまとめ方や発表時間の使い方など、参考になりました。

次回6月27日の発表のお知らせです。
次回は私加地のプレ発表です。
原民喜の「夏の花」について発表します。有元先生のお部屋の前に貼り付けてありますので、発表までに読んできていただくようお願い申し上げます。