5月30日の研究会の報告

こんにちは。3年の寺岡です。
5月30日の研究会について報告します。
今回の研究会は、権君による読書会でした。
芥川龍之介地獄変』を題材に、活発な議論が交わされました。
以下、議論の内容を簡単にですがまとめてみました。

・芸術至上主義について
→人としての栄誉は死とともに消えるが、作品は残り続ける
・娘は良秀の倫理的、人間的な面を象徴
・猿、娘の死→人間としての良秀(猿秀)の死、真の第一絵師としての再誕
・倫理を捨てて芸術を選ぶことは当時から考えると特異だったのか
・倫理を芸術が超越したのだとすると、最期で良秀が自殺したのは何故か
→一見人間を超えた存在として生まれ変わっているように見えるが、実際は倫理を超越した芸術を受け入れることができなかったのではないか
擬古物語にしてはテーマや表現が西洋的(「超人的」等)
・語りが殿様よりの視点なのは何故か
・芥川と谷崎の論争について
自然主義ではリアリズムに辿り着けない、寓話という手法による普遍性への到達
・娘のところへ忍び込んだのは誰か
→大殿、若殿、良秀、超自然的な何かなどの候補が挙げられた
・文中に頻繁に動物が登場するのは何故か(倫理と芸術の対比の構図に動物を配置したのは何故か)
→蛇は悪魔的なイメージ

6月6日の研究会では、4年生の卒業論文題目発表があります。先日ブログにて塚原さんからお知らせがあった通り、
加川さん 宮沢賢治銀河鉄道の夜』(新潮文庫
塚原さん 山田詠美『晩年の子供』(講談社文庫)
以上の2冊を研究会までに読んでおいていただきますようお願いいたします。