5月16日の研究会の報告

こんにちは、三年の矢澤です。
5月16日の研究会について報告します。
今回は三年の永原くんと板谷くんによる読書会でした。
永原くんは石川淳の「焼跡のイエス」、板谷くんは川端康成の「死顔の出来事」を取り扱いました。

まず、「焼跡のイエス」では、以下4つのポイントが挙げられました。
・この作品の主題について
・「焼跡闇市」という空間
・なぜ少年をイエス・キリストに見立てたのか
・「わたし」の少年に対する認識の変化
これらのポイントから、
・焼跡になった日本の再生の可能性を示している
・旧来のもの(太宰春台)に従いに行くことを少年に妨害されてしまったことの意味
・政治的に規定されていた場としての闇市
・神であった天皇が人間になり、孤児の少年が神になるという皮肉
・戯作文学の影響
坂口安吾堕落論」との共通点
など他にも多くのの意見が挙げられました。

「死顔の出来事」では、
・妻の死は「彼」によるもの
・妻の死は「妻の妹」によるもの
という二種類の考察が挙げられ、
・「彼」の感情が描かれていないことについて
・死体を物として扱う「彼」と、人間として扱う母の認識の差
・タイトルの「出来事」の意味
・初出である『金星』という雑誌の性質はどのようなものだったか
などの視点からも意見が交わされました。

来週5月23日は有元先生出張のため研究会はありません!
次回5月30日は権くんによる読書会です。
取り扱う作品についてはまたお知らせします。