5月9日研究会報告&5月16日研究会のお知らせ

こんにちは、3年の加地です。
5月が始まって10日あまり、加地は五月病を発症中です(笑)

では、5月9日の研究会の報告です。
今回の研究会では3年生と院生の長谷川さんのブックレビューを行いました。

板谷くん:『ノルウェイの森』/村上春樹
「究極の恋愛小説」という宣伝など、恋愛のイメージが先行しがちですが、生と死の物語とも読めます。書かれている時代は今よりも少し前ですが、登場人物の内面には共感できることが多く、人が抱える普遍的な問題を深く考えられる物語です。

寺岡くん:『ゴッドスター』/古川日出男
姉の死によっておばさんになる機会を失ったと考える「あたし」が記憶喪失の少年と出会い、彼の母親になろうとします。これだけでも「なんでそんなことを?」と結構理解しがたいです。舞台設定に謎が多く、なかなか難しいお話。語りが短文の繰り返しと特徴的らしく、声に出して読みたい物語です。

加地:『風船爆弾を作った日々』/愛媛県川之江高等女学校三十三回生の会
第二次世界大戦末期、学徒勤労動員のため風船爆弾づくりに携わった女学生の方々の手記です。戦争の時代に青春を過ごした女学生たちの戦争に対する思いや、戦時中でも変わらない少女らしい感性など、銃後の人々の生活が垣間見えます。書店ではなかなか見掛けないので、興味があればお貸しします。

永原くん:『空飛ぶタイヤ』/池井戸潤
ドラマ「半沢直樹」の原作を書いた作家さんです。トラック事故を起こしてしまった主人公が、事故の原因は整備不良ではなく車両自体にあったのだと証明しようとする物語。主人公はリコール隠しを暴くことが出来るのか、ドキドキの展開です。

矢澤さん:『アミービック』/金原ひとみ
精神に疾患を抱える主人公の女性が錯乱状態の自分の文章を発見し、徐々に錯乱状態の自分に支配されていきます。アミービック(アメーバのようなもの)のタイトルの由来にもなっている「脳にアメーバのようなものが棲みついている状態」ってどんな感じなんでしょう? 気になります。

権くん:『さまよう刃』/東野圭吾
娘を少年グループに殺された父親。本来なら犯人は少年法によって裁かれるのですが、娘を蹂躙された憎しみはそれでは満たされず、父親は犯人に自ら罰を与えようとします。正義とは何なのか? 法とは何なのか? 裁判員制度によって「人を裁く」ことが私たちにとって身近になりつつある今、考えたい問題です。

長谷川さん:「屋根の上」/原民喜、「黒い服の男」/星新一、「良識派」「大義名分」/安部公房、など
たくさんの作家、作品を紹介していただきました。長谷川さんは特に中島敦推しらしいです。有名作家のあまり知られていない作品(代名詞的な作品ではない作品)をたくさん知ることが出来てうれしかったです。

以上です。
4年生さんのブックレビューも合わせると、かなりの冊数になりますね! たくさん読んで賢くなりたいと思いました。

次回5月16日の研究会のお知らせをします。
次回は3年生の板谷くん、永原くんによる読書会を行います。取り扱う作品については追って連絡します。