7/19の研究会について

こんばんは!

7月19日(金)の研究会は4年生の藤村さん、三原さんによる卒論題目発表会でした。

・藤村さん
森茉莉研究ー老少女が生きた時代(仮)』

【論旨】
恋人たちの森」「日曜日には僕は行かない」「枯葉の寝床」の〈美少年もの3部作〉の作品分析を行ったうえで他作家の同性愛作品との比較、少女マンガとのかかわりなどをもとに、60、70年代における「森茉莉作品」について考察していく。

【質疑応答】
・読者はどのような人なのか。
 →三島由紀夫江藤淳のファンであったり、森鴎外のファンも多い。
・「ユリイカ」は臨時増刊号であるが、何の特集だったのか。
 →原本がないためわからない。
・3作品に原点である、アラン=ドロンとジャン=クロード=ブリアリの写真を参照す べき
・多作家による作品でどうして三島由紀夫中井英夫を取り扱うつもりなのか
 →三島由紀夫は同性愛を、中井英夫幻想小説少年愛を描いているから。

【講評】有元先生
同性愛の作品に関しては、少女マンガなどよりも森茉莉が先行しており、それについて60年代の文化や男女観と比較していくというのは卒論としてとても面白い。作品原点となる写真と作品の関係性といった面など、先行論を熟考する必要がある。また、章立ての見直しを必要となるかもしれない。


・三原さん
桜庭一樹研究』

【論旨】
桜庭一樹の作品には、彼が触れてきた文学の影響が反映されており、しばしば意図的に引用・模倣していると考えられる部分が多くみられる。そこで、作品の精読。桜庭の触れてきた文化の追体験、先行論の整理といった方法で、桜庭がどこから影響を受け、どのような意図でそれらを自身の作品に用いているかを考察する。

【質疑応答】
・『少女七篭と七人の可愛そうな大人たち』において、大人七人とは具体的にどの人物 を指していると思われるか
 →七人全員はわからない
・この考察をもって最終的にどこに結びつけるのか
・使用テキストに「私の男」を扱うのはなぜか
 →「鏡」「分身」といったイメージ、時系列をさかのぼるといった内容を取り扱うた め。

【講評】有元先生
桜庭一樹の現在の活躍はどのようなものなのかが気になる。「影響」という観点から卒論を書くのは割と難しいことかもしれない。桜庭一樹は「物語内容」に合わせて「文体」を変えているというよりはむしろ「文体」に合わせて「物語内容」を変えているといえるのではないか。

以上、卒論題目発表における大まかな内容です。
個人的に、美少年ものの世界観と桜庭一樹の不思議な感じが気になります。
藤村さん、三原さん発表お疲れ様でした^^

3年 中島愛